アートメダルとは
海外のメダルなどに触れると「メダルとはこういうことか」、と思い知らされる事があります。
ルネッサン期を経てヨーロッパではメダルというものは確固たる地位になったので、芸術品としても取り扱われてきた歴史があります。
その流れでレリーフ彫刻の進歩形として、また掌にのる芸術品としてアートメダルは活躍しております。
まさに、ヨーロッパの文化といって良いでしょう。
では日本ではどうでしょうか。
明治以降プレスの機械が輸入され、今あるようなコインやメダルが日本でも製造されだしました。
しかし、戦前まで日本のメダルのレベルは、メダルの意味としての未来へのメッセージや文化の伝達が、デザイン・彫刻芸術の上から見て、まだまだ物足りなさを感じるメダルが多く見受けられました。
とは言うものの、彫刻のセンスやレベルなどは、今以上と言っても過言ではないかもしれないものがたくさんあります。
1970年以降、日本の芸術メダルは世間のメダルブーム(コレクション)にのって大いなる飛躍をしました。
メダルというものがごく普通の家庭にも入っていったのです。
しかし、残念ながらどちらかというと記念メダルの類のもので、アートメダルとは決して言えない物がたくさんあったようです。
もちろん、記念メダルに使用できるアートメダルというか、アートメダルとして価値のあるものを使用した記念メダルもあったようです。
日本のメダルが目指す所は何処か。
日本人が本来持っている優れたセンスを、大いに新しい時代・文化の台頭と共にメダルに折り込められるべきではと考えます。
コレクターや鑑賞者からの視点では、小さな掌の中に入る世界です。
触って、眺めて、磨いてみてぬくもりや感触・バランス等を楽しんでもらいたいものです。
身の回りにある、机の中やタンスにしまい込んでいるメダルを集めて比べてみてください。きっと何かの違いに気づいたり、新しい発見があるはずです。
メダルとは手の中に収まる美術品であり、レリーフ彫刻のテクニックが一番表現できる世界です。
メダルといっても丸いものだけではなく、四角形、楕円形、三角形など様々な形があります。
近頃では半立体ではなく、ほぼ立体に近い形のものまでメダルである、という定義さえあります。